キーボードにはじまり、ドラマーを経てベーシストになった経緯を、このブログで書かせてもらった。ボーカルは人に聴かせるほどの歌唱力ではないが、ワンフレーズやワンコーラスなら歌ったことはある。けれども、ステージでギターを演奏したことは一回もない。
 実は、ギターやりたいと思ったことは数え切れないほどある。自分は普段、決して目立つ存在ではなかったのだが、ステージに上がるという快感を体験してからは、ステージ上では目立っていたいという思いが常にあった。で、ステージで目立つのはボーカル、そしてギタリストである。なのに、なぜギタリストにならなかったのか。それは、いつも尊敬に値するほどのギタリストとバンドを組んでいたから。

 私が音楽の世界に入るきっかけとなった中学~高校のギタリストは、本当にすごい奴だった。中学生ながらテクニックは楽器屋で自慢げに弾いている年上のやつらよりも当然あった。だがそれよりも、きちんと他の楽器を聞いて弾いているのが自分にはすごいと思っていた。だから自分がギターを弾こうなんて思いもしなかった。サイドギターというポジションを狙うこともできたのだが、私はドラムやベースの道を選んだ。それぐらいのやつだった。彼は高校を卒業してから上京し、私も地元を離れた大学に行ったので連絡は途絶えていたのだが、それから28年後、Twitterで再会を果たす。彼はプロのギタリストになっていたのだった。

 高校を卒業し、大学で地元を離れて新たな生活が始まるのだが、実はその前の春休みにギターを始めるつもりだった。それぐらいギターが弾きたかった。バイトでお金も貯まり、あとは楽器屋にいくだけだった。が、新生活のためにバイクとCDラジカセを買った。で、お金はなくなった。とはいっても、またお金をためてギターを買うはずだった。
 大学に入り寮生活となった。私の大学は、基本的に自宅通学以外は2年間寮生活だった。入学して早々に、自己紹介を載せた印刷物を作るということで原稿が来た。女子寮にも配布されるものなので、カッコつけて「ハードロックとパンクのバンドやってました」「ベースとドラムできます」と当然のように書いたわけだが、出来上がった印刷物が配布されたその日のうちに、自分の部屋に2人の男が訪ねてきた。2人はドラマーとギタリストで、一緒にバンドをやろうというお誘いだった。そのギタリスト、彼がまたうまい。テクニックももちろんだが、力強いギターを弾くやつだった。音楽的趣味もぴったり。もう一人のドラマー、この彼もいいドラムをたたくやつで、この2人といっしょにずっとベース弾きたいとおもうやつらだった。
 それから1年後、後輩にギターのすごい奴が入ってきた。まずはサポートとしてやってもらったのだが、彼はどちらかというと繊細な感じのギタリストで、この2人が奏でるツインギターは最高だった。その後、同級生とバンドを組むべく色々模索していながら、我々のバンドでも演奏してくれていたのだが、いずれもメンバーが固定しないようで、最終的にはうちのバンドのメンバーとして弾いてくれた。

 という感じで、この3人のギタリストがいたがために、私がステージでギターを握ることはなかった。私がギターを初めて買ったのは、地元に戻り、子供が生まれ、もう本気でバンドをすることもないと感じ始めてから、完全に趣味としてギターを始めた。ギターを弾きながら子供と歌ったりといったことだけだった。
 時は経ち、その歌っていた娘が高校生になって、学祭のステージでギターを持って歌っているの見ることになる。自分のギタリストの夢は、娘がその意思を受け継ぎ、かなえてくれたのである。