かなり間が空いてしまった。
 前回、ドラマーになった理由を書いたが、ドラマーになった翌年ぐらいにはベーシストになってしまったのである。今では現役ではないものの、自分は生涯ベーシストであろうと思っている。

 家にドラムがあるというこの上ない好条件にいたのに、なぜドラムを辞めたのか。それはただ単純に「目立たないから」。こう書くと世間のドラマーから文句を言われそうだけど、それがすべて。ステージ前方で動き回りたかった。それだけ。
 こんな音楽的でなく不純な理由でベーシストになったわけだが、それには理由がある。それは、80年代を代表するポップバンド、Duran Duranのベーシスト、ジョン・テイラーがカッコよかったから。少なくとも私には彼が一番ステージで目立っているように映った。ビジュアルが良く女性からの絶大な人気があったせいか、サウンド的にも結構ベースの音が前面に出ていた。で、ドラムを始める前から、ベーシストってカッコいいと思っていたのである。

 ただ、ドラムが嫌いになったわけではなく、
パンクバンドではずっとドラマーとして高校卒業まで続けていくことになる。ドラムで培ったリズム感は、ベースを弾く上で一番必要かつ身につけるのが容易ではないものなので、ドラムをやっていたことは無駄だったとは思っていない。ドラムを叩くのはとても楽しかった。単純に演奏する楽しさではベースよりドラムのが上だと思う。

 こうして、初めて好きで始めた楽器であるベースが、生涯弾き続けたい楽器となったのである。